いちご
更に車を走らせると、山を降りて小高い丘に差し掛かった。
「お、もうすぐで海だぞ」
「本当に!?」
美春と二人で後部座席から身を乗り出して、ナビに視線を向けた。
「ほれ、ここ」
俊ちゃんがナビを指を差すと、画面上には半分程青く埋まる箇所が広がっていた。
「本当だあ~!!まだ見えないの?」
はしゃぐ美春は、前方をウキウキと眺めている。
「危ないからちゃんと座ってろよ」
そう笑いながら言う俊ちゃんも、どことなく嬉しそうだった。
素直に従って腰を下ろした美春は「まだかなまだかな♪」なんて言ってニコニコだ。
素直な性格が、羨ましい。小学生からずっと一緒に居られたのは、きっと美春の性格が素直だからだろう。
小高い山に挟まれた丘の中腹に差し掛かった時、前方の景色が開けた。
キラキラと太陽の光を反射して、黄金色にどこまでも広がる海があった。
地平線の先は、空と海が繋がっているようだ。