夢のウエディング イン イタリー
翌週の土曜。新宿で待ち合わせた美和と拡嗣は、「パステル」でランチを摂って、さっそく〇〇ベウエディングに行った。感じのいい受付の人が話を聞いてくれた。

「イタリア・・・ですか。どうして、イタリアなのですか?ハワイやグアムにも素敵な教会がたくさんありますよ」

「歴史を感じる街と言うのか・・・イタリアが好きで、ずっとイタリアで挙式したいと思っていたんです」

と美和が切実な想いで訴える。

「そうしましたら・・・例えば、このパッケージツアーのこの1日を結婚式に使っていただいて、また、ツアーに合流と言う形になりますね」

「バタバタですね」

「イタリア向けのウエディングパックがないもので・・・」

「とりあえず、イタリアのチャペルでの挙式の様子をDVDでお見せしますね」

キレイなチャペルでの2人の素敵な式。いいなぁ、と思っていたら、5分ほどでその映像は終わり。

「これだけですか?」

と美和。

「申し訳ないです・・・ヨーロッパは、あまり手掛けていないんですよ」

「そうなんですね」

落胆の色が顔に出ちゃっているのが分かったのか

「申し訳ないです」

と繰り返す受付さん。

「いいんです、他、当たってみます。ありがとうございました。行くよ、美和ちゃん」

と美和の手を引いて、ずんずん行く拡嗣。

休憩で入ったティールームで

「う~ん、やっぱり難しいのかなぁ?」

と、落ち込み気味の美和を励ますように拡嗣が、

「ヨーロッパ専門のところがあるって言ってたじゃん?・・・予約とかしなくてもいいのかな?」

「あ・・・したほうがいい?電話番号、メモってあるよ」

「じゃああとで、電話しよう」

「そのプロデュース会社に期待、だね」
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