夢のウエディング イン イタリー
2007年2月4日。2人は品川で待ち合わせた。

「コージくん、おはよう。この格好、おかしくない?」

「いい感じ。かわいいよ。行こうか」

京急のエアポート特急で羽田空港へ。羽田から、大分行きの便で大分空港へ。

出口で拡嗣の母が待っていた。よかった、優しそうな人だ。美和は安堵した。

大して話すこともなく、ちょっと気詰まりな空気の中、別府にある拡嗣の実家へ。

「お邪魔します」

「いらっしゃい。お昼を用意したけん、食べながら話そうや」

拡嗣の父も優しそうな人だ。こんな2人に育てられたから、優しい男性に育ったのだな、拡嗣は。

「〇 美和さんだよ。東京の人だよ。彼女と結婚しようと思ってる」

「はじめまして、〇 美和です」

「まぁ、そう、かたくならんで。食べよう、食べよう」

しばらく、歓談したのち、美和が思い切って言った。

「あの・・・結婚式はイタリアでしたいと思うんですが」

拡嗣の両親が凍り付いた。

「違う、違う、2人は来なくていいんだ。僕たち2人っきりで挙式したい、ってこと」

「それならいい。披露宴はこっちでやりなさい」

「はい」

そのあと、また、しばらくのあいだ、食事しながら歓談した。

「お邪魔しました」

「別府観光、楽しんで行ってね」

「ありがとうございます」

「ホテルまで送るわ」

「ありがとうございます」

ホテルについて、一息。

「はぁ・・・緊張した。でも、いい人たちでよかった」

「美和ちゃんに言わせると、たいていの人は『いい人』だからな」

拡嗣が苦笑した。

「だって、本当に、そう思ったんだもん!」

「はいはい、わかった」

拡嗣が優しくキスをした。

「続きは、夜、な?」

「もうっ」

ぽこぽこぽこぽこ・・・美和が優しく拡嗣の胸を叩く。
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