夢のウエディング イン イタリー
次の日曜日。10時に2人は新宿で待ち合わせて。〇王百貨店の例の店へ。

「いらっしゃいませ。先日のリングでしょうか」

「覚えていてくださったんですか?ありがとうございます」

「もちろんです。こちらですね」

「へぇ。きれいだね」

「でしょう?1目で気に入ったの」

「これを、サイズ調整できますか?」

「はい。指の太さお測りしますね・・・おっしゃるとおり、15号、ですね。2週間ほどお時間いただきますが」

「結構です」

「嬉しい・・・私たち、婚約したんです」

美和が、得意のお惚気を見せる。

「じゃあ、これは、婚約指輪。おめでとうございます」

「ありがとうございます」

「では、2週間後、お待ちしています」

気がつくと、拡嗣が少し顔を赤くしている。

「この、お惚気太郎が・・・」

「いいじゃない、幸せなんだもん」

「はいはい。横浜に移動する?」

「そうだね、横浜でお昼、食べよ」

「中華街がいいな。〇福門の飲茶が食べたい」

「了解ですっ」

渋谷から、みなとみらい線直通の東横線で横浜中華街駅へ。

しばらく歩いて、〇福門へ。結構、混んでいる。

「ご飯食べたら・・・美和ちゃん食べたい」

「えっ・・・」

「いいだろ?」

「うん」

〇福門は、出来立て飲茶食べ放題のお店で、結構おいしい。

食事のあとは・・・いつものラブホへ。愛を確かめ合った。

縛りが4時間と比較的長いので、ゆっくりできるので馴染みになった。

今回も、ゆっくりして、そのあと、電車に乗って横浜へ。

時刻は、6時少し前。拡嗣が、横浜〇カシマヤのいくつかの両家顔合わせのお店を教えてくれる。その中で、割とリーズナブルな和食でディナー。

「どう思う?」

拡嗣が伺うように聞く。

「う~ん、良くも悪くもないと思う。味も、まぁまぁだし、盛り付けもきれいだけど、決め手がないなぁ」

「だよねぇ。同意」

「やっぱ、個室のほうがいいよね」

「だね」

会計を済ませて、店を出ると、「コンシェルジュ」とかいてあるコーナーに気がついた。初老のダンディーな男性が正装で立っている。

「すみません」

拡嗣が声をかける。

「はい、いかがしましたか?」

「〇カシマヤで、個室のあるレストランはありますか?」

「個室と言うと・・・何かイベントですか?」

「僕と彼女、婚約したんですが、両家顔合わせの店を探していて」

コンシェルジュが目を細めて言う。

「それはおめでとうございます。ただ・・・両家顔合わせの店選びと言うのはね」

2人の顔をじっと見つめて言う。

「娘さんをお嫁にやる父親が、お願いします、という想いをこめて選びものなんです。略式の結納ですから、そういうことになるんですよ」

「そうなんですか・・・」

2人が声を揃えて言う。

「お父さまも、お考えだと思いますよ」

美和にウィンクしてコンシェルジュは言った。
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