僕の背後にナリスマシ
妙高が営業所に戻ると周治が声かけてきた。
「面白いもの見せてやろうか。」
周治は携帯のメールの画面を開き〈ただいまテスト中〉と入力すると妙高に送信した。すると妙高の携帯と同時に他からも着信音が聞こえた。周治が小さな動作で配送仲間の籾田千尋を指差す。 携帯でゲームをやっていたこの青年は一瞬動作を止めた。
「もう1回やってみるか。」
周治が再び妙高に送信すると籾田の携帯も同時に鳴る。籾田は慌てて外へ出た。
「よし、もう1回はやってみるか。タイミングはあいつが入ってきた時だ。」
籾田は マナーモードにしたのか携帯の電源を切ったのか入ってきた時には着信音はしなかった。
「どうやら俺たち2人は狙い撃ちされてるな。」
周治は言った。
「そういうことか。つまり、俺とお前のやり取りは全てDJとその一味に転送されているわけだな。」
「ほんと筒抜けだよ。これで納得した。」
「まぁ、転送と拡散はどういう設定でやってるかわからんけどな。 音声の収集は噂によると寝言を録音するアプリらしい。 音がする時だけ録音機能が作動するやつだ。」
周治はどこで聞いたのかそう言う事まで知っていた。
「こうなったら各々のDJに名前つけてやろうか。」
「それはお前に任せる。」
「よし、決めたぞ。」
妙高は瞬間的に思いついた名前 にしようと決めた。
「早いな。」
周治は驚いたようだった。
「日曜の担当が偽善者レッド。土曜日の担当は露出狂ブルー。夕方は色天狗イエロー 。昼が法螺吹パープル。朝が根暗グリーン。」
「戦隊モノのパクリか。だったらピンクもいるだろ。」
周治は正しく設定しろよと言わんばかりに 笑いを浮かべた表情で言う。
「女性アシスタントはまとめてピンクでいいだろ。それとも桃尻娘か。」
「女性陣にはずいぶん優しいな。」
「まあな、相槌を強要されているかもしれないからな。」
「お前がパソコンショップのスタッフから聞いた話も面白かったが、俺も 飯食ってる時、面白い話聞いた。」
周治はまだ何か知っているようだ。そして話を続ける。
「俺のコースはショッピングモールの納品も入ってるだろ。午前中の最後はテナントに納品してそのままお昼にした。 隣の席が女の子二人でな、アルバイトの話をしてたんだ。それが 『くノ一』ってやつ。ラジオが流れている店とかショッピングセンターの飲食広場に行ってラジオを聴いている人を探すらしい。見つけたら近づいて携帯の〈寝言アプリ〉を立ち上げる。その録音を担当のDJに送信するんだ。番組に反映させるから正式にはリアクション・チェックと言うらしいが 業界ではストーカー企画で通っている。 話を聞いた感じではやっている連中はほとんどゲーム感覚だな。」
周治が聞き耳を立てながらラーメンを食べている姿を想像した妙高は笑いを浮かべた。周治がここで食べるのは圧倒的にとんこつラーメンだ。
「おい、何がおかしい。」
周治が妙高に問いかける。
「お前も寝言アプリで録音したのか。」
妙高が尋ねた。
「録音するほどの話か。」
妙高の問いに周治が答えた。
「よし決めたぞ 。DJ 達は〈盗聴変態ノゾクンジャー〉。アルバイト連中は男が〈クサ〉、雑草の草じゃなくて臭いのクサな。 女の場合はくノ一でいいだろ。」
妙高はサクッと決めてしまった。
「 オマエ、ホントにそういうの得意だよな。尊敬するよ。」
周治は少し呆れながらも 妙高のこの才能を羨ましがってもいる。
「よし、今からこの設定だな。」
「面白いもの見せてやろうか。」
周治は携帯のメールの画面を開き〈ただいまテスト中〉と入力すると妙高に送信した。すると妙高の携帯と同時に他からも着信音が聞こえた。周治が小さな動作で配送仲間の籾田千尋を指差す。 携帯でゲームをやっていたこの青年は一瞬動作を止めた。
「もう1回やってみるか。」
周治が再び妙高に送信すると籾田の携帯も同時に鳴る。籾田は慌てて外へ出た。
「よし、もう1回はやってみるか。タイミングはあいつが入ってきた時だ。」
籾田は マナーモードにしたのか携帯の電源を切ったのか入ってきた時には着信音はしなかった。
「どうやら俺たち2人は狙い撃ちされてるな。」
周治は言った。
「そういうことか。つまり、俺とお前のやり取りは全てDJとその一味に転送されているわけだな。」
「ほんと筒抜けだよ。これで納得した。」
「まぁ、転送と拡散はどういう設定でやってるかわからんけどな。 音声の収集は噂によると寝言を録音するアプリらしい。 音がする時だけ録音機能が作動するやつだ。」
周治はどこで聞いたのかそう言う事まで知っていた。
「こうなったら各々のDJに名前つけてやろうか。」
「それはお前に任せる。」
「よし、決めたぞ。」
妙高は瞬間的に思いついた名前 にしようと決めた。
「早いな。」
周治は驚いたようだった。
「日曜の担当が偽善者レッド。土曜日の担当は露出狂ブルー。夕方は色天狗イエロー 。昼が法螺吹パープル。朝が根暗グリーン。」
「戦隊モノのパクリか。だったらピンクもいるだろ。」
周治は正しく設定しろよと言わんばかりに 笑いを浮かべた表情で言う。
「女性アシスタントはまとめてピンクでいいだろ。それとも桃尻娘か。」
「女性陣にはずいぶん優しいな。」
「まあな、相槌を強要されているかもしれないからな。」
「お前がパソコンショップのスタッフから聞いた話も面白かったが、俺も 飯食ってる時、面白い話聞いた。」
周治はまだ何か知っているようだ。そして話を続ける。
「俺のコースはショッピングモールの納品も入ってるだろ。午前中の最後はテナントに納品してそのままお昼にした。 隣の席が女の子二人でな、アルバイトの話をしてたんだ。それが 『くノ一』ってやつ。ラジオが流れている店とかショッピングセンターの飲食広場に行ってラジオを聴いている人を探すらしい。見つけたら近づいて携帯の〈寝言アプリ〉を立ち上げる。その録音を担当のDJに送信するんだ。番組に反映させるから正式にはリアクション・チェックと言うらしいが 業界ではストーカー企画で通っている。 話を聞いた感じではやっている連中はほとんどゲーム感覚だな。」
周治が聞き耳を立てながらラーメンを食べている姿を想像した妙高は笑いを浮かべた。周治がここで食べるのは圧倒的にとんこつラーメンだ。
「おい、何がおかしい。」
周治が妙高に問いかける。
「お前も寝言アプリで録音したのか。」
妙高が尋ねた。
「録音するほどの話か。」
妙高の問いに周治が答えた。
「よし決めたぞ 。DJ 達は〈盗聴変態ノゾクンジャー〉。アルバイト連中は男が〈クサ〉、雑草の草じゃなくて臭いのクサな。 女の場合はくノ一でいいだろ。」
妙高はサクッと決めてしまった。
「 オマエ、ホントにそういうの得意だよな。尊敬するよ。」
周治は少し呆れながらも 妙高のこの才能を羨ましがってもいる。
「よし、今からこの設定だな。」