腕の中の静けさは・・・
あの日なんかいつもの天音と違ってたから何かあったのかって心配になった。


そしたら

『シたい』って
『抱いて』って・・・



こんなのたまんない。

あんな天音は初めてだったから(笑)

たまんないっしょ、あんなの・・・(笑)



必死に耐えたオレだったのに

そんなこと言う天音にオレの気持ちも身体もどんどん勝手に熱を帯びてくのが自分でも怖いくらいにわかる。


オレの体に乗り上げるように抱きつきキスを繰り返す天音のことを
本当にこのままギュって抱きしめてメチャクチャにしたいって・・・

そう思うのに時間なんてかからなくて
自分で決めたことだけど、揺らぎそうになる決意。

でも、やっぱりオレにはどうしても耐えられない考えただけで苦しくなる思いがあって
その思いが揺らぎそうな決意をあらたに強くさせたんすよ。



今にも泣き出しそうな天音をそっと抱きしめると諭すように話し出す。



きっと自分が言ったことに恥ずかしさや後悔や不安を抱いている天音を包み込んだ。

なによりも自分が落ち着きたくて何でもないみたいに出来るだけ穏やかに・・・






『オレね忘れられないんすよ』

『天音から子供できたって聞いた日からシオンが産まれるまでのこと』

『つわりもひどかったし、仕事も続けながらでむくみとかもひどかったし、夜も眠れてないこともあったでしょ』


って静かに話したんすよ・・・



今思い返しても泣きそうになるし胸がくるしくなる。




赤ちゃんできたって聞いたときは本当にうれしくて
あのときの感動は今でも忘れられない。っていうか一生ものの感動



でもさ、それからがさ・・・・・・

つわりもひどくて辛そうな天音は食事もなかなか摂れなくて
でも赤ちゃんのためって言いながら一生懸命に食べてたんすよね。



時間をかけてゆっくりと・・・

日に日に大きくなるお腹に家事も苦しそうになって
少し仕事もしてたから足のむくみもひどくて痛いって泣いてた。

夜だってお腹が苦しいのか落ち着かない体勢に寝静まるのはいつも朝方で
少しでも時間が空くといつもうたた寝をしていた。



睡眠不足なのは明らかで目も真っ赤だった。



だからあまり負担は掛けたくなくて夕食も外で済ませたり
朝も会議とかいって早く家を出て途中で食べたり

休みの日は洗濯も掃除もどんどんやった。

でもそんなオレの行動はバレバレで怒られたっけ・・・













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