腕の中の静けさは・・・
目が覚めたら一人ぼっち・・・


腕の中に居た天音もいないしシオンもいない。
置いてきぼり。


しかもやけに静かで・・・
慌てて起き上がって部屋を飛び出す。




シーーーーーーーーン。。。。。






案の定誰もいなかった。



「・・・・・・・」

いっそいでスマホを探すけど見当たらなくて無駄にジタバタしてるオレ。




「あ~~もぉ、どこっ。スマホも天音もシオンも!!」


時計を見るともうすぐ4時。
まだ明るいけど十分夕方。


家電からスマホを鳴らす。
聞こえるけど・・・・・・・・どこ?



耳を澄ますとどうもベランダらしい。


あーーーーーーーー思い出した。
タバコ吸いに行ったな・・・

ついでに洗濯物とりこもうって思ってスマホを鳴らしながら手すりに手を置いたら・・・




マンションの敷地内の公園の中を歩く天音が見えた。


隣には、、、え?男??

なんかあたふた慌ててる天音の腕の中からシオンを抱き上げたそいつ!


「っなんだよ!!!」

【もしもしユソン?】


【なにしてんの】

【買い物だよ?】

【ひとりで?】

【もちろんシオンもいるよ。変なユソン。クス】

【そいつ誰?】

【ぇ?】



キョロキョロする天音が見える。




【そこにいて。迎えに行くから】

マンションを飛び出す。





こんなに走ったの何年ぶりかな・・・








「ハァーーハッ、ッハァーーーーーーゲホッ!!!」

「ちょっと大丈夫?そんなに急いで来なくても・・・笑」

息を切らしながら膝に置いた手に力を入れてオレの背中を摩ってくれてる天音を見あげる



「さっきのヤツは?」

「あ~もう帰ったよ。荷物持って貰って助かっちゃった(笑)」

「・・・・・誰」

「あれ~ユソンも知ってるじゃない。1階で幼児教育の教室開いてるイムさん」


「・・・・・・・ぁ、、あのイケメン」

「うん、そうそう。評判よね。背も高いし爽やかだしそのうえ子供好きってそりゃ~お教室人気な訳だって納得しちゃった。笑」



「・・・・・・・」

「確かにイケメンだったしね~(笑)うふふ」


「・・・・・・で?」

「ん?」

「誘われでもした?」

「あ~~うん(笑)」


「っはぁあああ?マジで言ってんの?」



「え~シオンと私にだって権利あるでしょ?」

「なに権利って?」

「なにって誘われる権利だよ」



わかんねー。

ムカつく。








「オンマっすよ?自覚ないの?ハズカシクナイノ?なに誘われて権利とか言ってんだよ!
シオンの前でよくそんなこと言えるっすね!呆れるよ!!しかもオレがいない間に男と、、って、、なにしてんだよ!!!」


「・・・・・・・・・・」




オレを見つめたままの天音は何も言わない。
それとも言えない?


そしたらオレからシオンを抱き上げて黙って歩き出した。



は?なにそのあからさまな態度!!!



慌てて荷物を持って追いかけた。


部屋に入るとシオンと一緒にバスルームに向かった天音。

時計を見ればシオンをお風呂に入れる時間になっていた。


気になりながらも買い物の中に魚とか見えたから
とりあえず冷蔵庫にって思ってキッチンへ行く。




と、買い物袋の中から封筒が落ちた。

開いてみると、幼児教室パンフレットと申込書があった。


「ぁ、、、」


誘われる権利。っか。


そしたらシオンの泣き声が聞こえるからバスルームへ急いだ。




「あけるよ」
って言いながらバスルームのドアを静かに開ける。

一瞬蒸気でなにも見えないけどバスタブの中にふたりが見えた。




ぎゅってシオンを抱きしめてる天音がいる。

真っ赤な顔のシオンを抱き上げようとするとそれを拒む天音。




「いいから。シオン顔まっかっすよ」

「・・・・・・」

「さき出すよ」


何も言わないからとりあえず心配なシオンを抱えてリビングに向かった。



急いで身体を拭き着替えさせるとニコって笑ってくれた。
ホッとして哺乳瓶に飲料水を入れて飲ませるとコクコク飲んで目を閉じた。

そのまま少しベランダで風に当たる。
熱くほてっていた体温も落ち着いたみたい。

リビングのマットの上に寝かす。


少し見届けて急いでバスルームに向かう。




「あまね?」

遠慮気味にドアを開けるとバスタブの中でさっきのシオンよりも真っ赤な顔でボーとしてる。




「ちょ、、なにしてんすか!出るっすよ!立てる?」


手を引っ張るけど一向に出ようとしない。

バスタブの中に入って脇に手をいれ立ち上がらせようとすると
両手で思いっきり拒まれた。




「ごめん!オレが悪かったから・・・・・あんな言い方ほんとゴメン」

「・・・・・・・」



「だから、、でよ。倒れるよ」

もう一度腕を取るけどスルって外される。





「天音・・・・」

「自分でできる」

「・・・・・でてるよ」




一旦リビングへもどりシオンの様子を見る。
ぐっすりだった。











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