腕の中の静けさは・・・
それからもなかなか機嫌が良くならなかった天音。



視線が合わずに会話をするのも、もう3日目。
ツライ・・・

思い切って視界に入ろうとするけどオレなんか見えないみたいにする。
かと言って無視するわけじゃないから会話として声は聞こえる。


でも視線が合わない会話は会話になってない。


寂しいし、、、すげーツライ。
そんな日がもう、、、もぉ、3日、も、続いてる。



ってゆーかさ?
あの出来事の結果、、じゃなくて結末だっけ・・・?

それが入会ってどーゆーこと?逆じゃね?

イケメンと距離置くならまだしも近づくってなんっすか?
まったく意味わかんねーんすけど・・・

教室が評判がいいのは知ってる。
噂にはなってるし、、しかも色んな意味で。


この間エレベーターで一緒になった隣のチョンさんも言ってた。



『パクさんの奥さんはどーですか?』って。

チョンさんちはウチよりも2つ上の女の子がいる。
どうも奥さんが噂を聞きつけて入会させようって思ったらしくて相談されたって。

『たぶんウチのが言うってことはパクさんの奥さんもじゃないかな~』って
そういえば言われたな、、なんて今なんとなく思い出す。


そのときオレなんて言ったっけ・・・・・・・


あ、、あああ~思い出した。


『ウチのはまだまだ小さいんでそーゆーのは・・・』って言ったんだ。

そしたら『こういうのは早いほうがいいみたいですよ』って。


だから『(笑)やだな~すっかり奥さんに洗脳されちゃってるじゃないですか(笑)もう入会決定ですね』って言ったな・・・




ハズカシそうに笑ったチョンさんの顔を思い出した(笑)
で、結局入会したかどうかはあれってきチョンさんに会ってないからわからない。





チョンさんに言ったみたいに「まだ早いでしょ?」的な話を何度もするけど
結局はチョンさんみたいに「早いほうがいいんだって」って言う天音。


早いほうがいいことはオレだって知ってるしわかってる。



でもそればっかりじゃないだろ?
今はさ、オンマとゆっくり時間を過ごすほうが大事だってオレは思うよ?

でもそれがなかなか言い出せない。




子供の成長過程で運動も勉強も早い方がいいってわかってる。

でもその反面やっぱりな思いも捨てられないでいる。
子供のこととなると判断が難しいしなかなか結論がでない。







「ねぇ・・・」

「ん?」


「ねぇーーってば」

「・・・・・・」



怪訝そうな顔で見つめるから声が出なくて
しばらく無言で見つめあう。

今日は少し早めに帰ってきた。
しかも定時前。


『ユソン今日はもうあがっていいぞ』って・・・

『明日から頼むな』って・・・




ん、明日から出張。


こんなときに2週間って・・・
しかも海外。

やっぱりギクシャクを脱することができなくてちょっと困ってる。



結局、幼児教室には申し込まなかった天音だけど
もちろん天音が怒ってるのはそんなことじゃないから・・・・・


「あのさ、、、」




とっくに寝てるシオンだから今は天音とふたりきり。
大切な時間なはずなのに・・・

声を掛けたオレの方に一応は
向いてくれる。



「覚えてる?」

「なに?」

「出張」

「だから早かったんでしょ今日」



だよね。
忘れてるわけないっすよね・・・


ってゆーか思い出すよねこんな感じ。

天音だって同じような行動パターンだったんすもんね。


4日が限界もうだめだって思ってたのに2週間ってなに?っすよ・・・

それなのにこーんな感じなのダメじゃない?
ダメっすよね?



「まだ怒ってる?」

「べつにはじめから怒ってないし」



それが怒ってるじゃん。







「トランク出して、ある程度準備してあるから確認して。足りないものは自分でね」

「ありがと」

「会議だったんでしょ、軽く用意してあるから食べちゃってね」

「うん、わかった」

「じゃ私、お風呂行ってくる」



「ん・・・」





プレートに少しずつ何種類か盛られた夕食を食べる。
いつもどおり美味しい・・・

長めの出張の前の会議は簡単な食事が出る。



会議があることもたぶん予測済みだった天音




プレートを洗ってバスルームの音を確認してから書斎に向かった。




さすが、準備は完璧であとは仕事のものを入れてしまえばOKだった。





ふと、シオンが気になって寝室に向かうと目に留まったソレ。

ゆっくり近づく。








カチャ。


シオンを気にしながら開くと中には天音とシオンの着替え。

それにシオンのおもちゃ。

天音が今読んでる小説が何冊か。




その他もろもろ。


少しの間放心状態でソレを眺めて導き出した答えに何度も頭を振って打ち消す。



日本に帰る
そのさきは・・・・・


急いでバスルームへ向かった。
















バタン!


「きゃ!ユソン!!」


ピチャ。


シャワーで身体の泡を洗い流している天音を抱きしめた。








「え、、なに?」

「日本帰ってどうする気?」

「え?」

「だから日本帰って、、もぉココに戻らない気?」

「ちょ、、っとなんのことよ。それよりどうするのよ。びしょぬれ、、んんっグ、、」



そのまま天音の顎を引き寄せてキスをすると
オレの胸に手を置きながら抵抗する天音の両手をしっかりまとめて壁に押し付ける。



腰を引き寄せキスはやめない。

「ケホっ、、、、」



苦しかったのか天音がセキをした。
オレの手が緩んだ隙に天音が力いっぱいオレを押しのける。


肩で息をしながら
「日本に帰したいの?」って・・・

え?



「帰ってほしいわけ?」


「んなわけないじゃん!」

「じゃぁなによ。さっきの」

「だって寝室にトランクあったし」

「し、なによ」

「どっか行くっておもうじゃん」

「それが日本?」

「そ、、そーすよ。」

「で、もうココには戻らないってことなわけ?」

「・・・・・・」



「それ離婚ってこと?」




ドキン!!!
心臓がドクドク一気に加速して驚きすぎて声にならないまま天音を見つめるしかできない




「そーなの?」

「・・・・」

「そー思ったわけ?」


「そーっすよ」



「私が行くところは日本しかないわけ?私そんなに寂しい人間じゃないんだけどな」

って言いながらもう一度シャワーで身体を洗い流してる。






「先に出てるね。早く脱いでね、洗濯したいから」



言われた通りに濡れてしまった洋服をパウダールームの天音に渡して
そのままシャワーを浴びた。





日本しかないわけ?ってなに?
他にいくとこあるってこと?


そりゃ、世界各国に友達も多い天音だけど今、旅行なんてフツー思わないっすよ?

オレとこんな状況のときにのんきに旅行なんて思わないし思いたくないし!



あ、でもそのほうがいいのか?
・・・・・だなぁ。オレにとってはその方が絶対いいのか・・・・?


日本に帰られるより何億倍もいいのか・・・・・


でも否定も肯定もしなかった。

っ!なんなんすか!!!




パジャマが用意してあって・・・
怒ってるのにちゃんといつも通りの天音に少しイラっとした。









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