腕の中の静けさは・・・
遠くに聞こえたその声。
なにがあった?


冷静に静かに聞こえたユソンの声。


泣く。
と、言うか泣き叫ぶって言った方が・・・



ペダルに付かない足。
空回りしてるペダル。



「ふぅぅぅ。。。。。」

落ち着け。




あせる気持ちを抑えて大きく深呼吸をしてから思いっきりペダルを踏み込んだ。




駐輪所についても鍵がうまくかからない。

どうしてこんなにも焦るのか・・・
なんでこんなにも予感めいたものを感じてしまうのか・・・

わからないまま、荷物だけを持つ。

マンション内、、
盗まれないようにと願いながらその場を離れた。



エレベーターの中でも足踏みが止まらない。
玄関前に立つと、咳き込む。


ポケットから鍵を出して様子を伺うと一目散に駆け出してきたシオンを受け止めた。



その後ろからカノンを抱っこしながらゆっくり歩いてくるユソン。
その表情は少し曇っていた。




シオンを抱きしめながらユソンを見つめると
曇った表情のまま微笑んで買い物袋を手に取るとキッチンへ行ってしまった。




「シオナ・・・?」


「ぅ、、、、、ぅぅオン、、、ッマ。。ぅ、、、」


「大丈夫、、待つよ。ゆっくりでいいから」
って背中を撫でると小さな手が、ギュって私の背中を捉えた。



なんかどうしていいかわからなくて私まで泣きそうになる。
こんなこと初めてだし・・・

抱き上げて廊下を歩いているとユソンが顔を出す。



「シオナ、あっぱのとこおいで」
って手を出すユソンにコクリうなずいて手を出すシオン。



カノンを抱っこしてるのに、かなり重くなったシオンを軽々抱き上げるから
カノンをユソンの腕から受け取る。


そしたら「ちょっと男同士の話してくる(笑)」って言いながら寝室に行ったふたり。









くりくりおめめのカノンが私をじっと見上げてる。
私もじっとカノンを見下ろす。


「かの、、、んンン・・・・」

自分でもわかる。
声も表情も不安でいっぱいなはず。


じわじわとカノンの顔が霞んでゆく・・・

その時だった。


「あ。」



涙が落ちたのが早かったのか・・・
カノンがニコって笑ったのが早かったのか・・・


小さな体を抱きしめた。









「カノン、、、オッパどうしたんだろうね・・・」


腕の中のカノンはやっぱり笑っていた。











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