腕の中の静けさは・・・
空港にはウビンが来てくれていた。





オレを見つけると駆け寄って何度も「すまない」って言いながら抱きしめられた。





「ウビン、、ありがとう。とにかく案内して、頼む!!」

「そうだよな。」







気遣いも出来ないオレに代わってガリルがウビンの肩をポンと叩く。









車の中でオレの代わりにいろいろ聞いてくれるガリル。


「で、どうなんだ」

「ICU、まだ意識はもどらない状態です。今、部長が付いてくれています」

「そうか・・・」









静まり返る車内。


「ウビナ?」

「ん」








「、、、、お腹の子、、は?」




「なんだ、そうだったのか?」驚くガリルに微笑む。






「ん、ユソナ、、奇跡だって医者言ってた。」

「じゃぁ!!」

「うん、無事だ」








もう涙が止まらなかった。
ガリルの大きな手がオレの肩に回る。







ICUのガラス越し。
沢山の機械に囲まれて顔なんて見えやしない。






中にも入れる状態じゃないって・・・


だけど結局オレはそこから離れることが出来なくて
アメリカへの連絡や細々したことはガリルがやってくれていた。



そんなこと天音に知られたら怒られそうだ。

支社長にって・・・

でもごめん。
オマエのそば離れたくないんだ・・・・









一旦会社に戻ったウビンが夕方戻ってきてくれた。



大まかな状況は病院と警察から聞いた。




うん、しっかり聞いたつもり・・・

でもどこか他人事で、触れることが出来ない天音を見ても現実味が全くなかった。






「ほら」って握らされたコーヒー。

「サンキュウ」


隣に腰をおろしたウビンが話し出す。









< 206 / 308 >

この作品をシェア

pagetop