腕の中の静けさは・・・
扉をあけた一瞬で感じる天音の香り・・・



ダイニングに置かれたノートパソコン。

その上に置かれた黒縁のメガネとハンドクリーム。

イスにかけられたグレーのパーカー。



ソファーには何冊かの本。

テーブルにはシオンとカノンの写真がズラリと並ぶ。





ふらふらキッチンへ向かう。

シンクの中は、、、今朝のかな。



急いで出かけたのかもしれないすね。

オレが長電話しちゃったすからね・・・


カップとスプーンとお皿が置いてあった。





腕まくりをしてスポンジをクシュクシュクシュしたらまた涙が溢れてきた。

微かに香った洗剤の香り・・・
それまでに天音を感じてしまう。

いつもスポンジを3回クシュ、、クシュ、クシュってする天音の何気ない行動。
それを自然にやってしまう自分。



ふと向けたコンロにはお鍋があって蓋をあけるとイイ匂いがした。



ベランダに出て冷たくなってしまった洗濯物を取り込む。


当たり前だけど全部天音のもので・・・

この洗濯物で、ここでの天音の生活が伺える。





ゆっくり寝室に向かう。


ここにも沢山の写真がところ狭しと置かれていた。



ベッドに腰を降ろし布団の中にてを入れ左右に大きく手を移動するけど・・・

おもむろに枕を手に取り抱きしめた。



思いっきり顔を寄せて大きく深呼吸したら・・・


「、、、、、ぅ、、っ、、、天音、、、、、」


一瞬で天音でいっぱいになった。















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