腕の中の静けさは・・・
「シオンくん無事だから・・・ちょっとかすり傷したけど元気だから」

「ヨカッタ・・・」



それと

「ありがと、、、」



「ン?」

「お腹の子も無事だから」


優しい笑顔を自分のお腹に向けた天音を見つめながら抱きしめたかったのに
ぎゅって抱きしめたかったのにって・・・


タイミングがなくなってイスに座りなおし天音のお腹に手を当てた。


視線が合うと微笑む天音。

そのまま身体をかがめて抱きしめた。





「ほんとよかった・・・」

「ン、、、」





「あのさ、手、、もしかして動かない?」


ほわってオレに回る手の感触がない。から・・・






「しびれてる・・・」

「・・・・・・」




「動かないのかな・・・」


「・・・・・・」



ゆっくり天音の手に触れる。





「先生呼ばなきゃな・・・」

「ん、、、」









それから先生が来てくれて天音の身体に検査機器が取り付けられてゆく。


心配そうな顔の天音に笑顔を送りながら見守りながら、
さっき動かないのかなって言った天音にふっと、浮かんだことを考えた。





まだ大事なこと言ってないって・・・

たぶん車椅子になるって、、だから自然分娩ムリだって、言ってない。



上半身のしびれはそこに関係してるのかもって今更ながらに思っていた。

手も腕も動くこと、それはオレが一昨日感じてること。

動くって・・・







お腹に子供がいるから検査にも限度があるらしく

データーを持って先生が病室を後にして、
代わりにリハビリの先生が天音の腕をマッサージし始めた。




「ちょっと身体の伝達とかがねうまくいってなかったのね。とても大変だったから・・・」


そう話す先生にニコニコしながらオレを見る天音に微笑んだ。




その間に先生に呼ばれて、不安そうな天音に
「大丈夫すぐもどるから」って言って病室を後にした。













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