腕の中の静けさは・・・
「驚いたでしょ?」

「そうですね」

「でも大丈夫です。上半身は問題ありませんよ。一時的ですね。大変な事故でしたから
身体もうまく追いつかない状態なんだと考えてください。」



「はい・・・」

「ん?どうされました?」



「ボクまだ大事なこと話してないんです」

「無理もないですよ。ご主人?私から話しましょうか?」


先生には自分から話したいって伝えてあった。







「いえ、ボクが」

「大丈夫ですか?」

「はい・・・」



「しびれも何日かで消えて身体も徐々に慣れてくると思います。そうなると下半身の違和感は自ずと気付かれると思います。上半身とは違い痺れとかではなく感覚がないはずなので・・・
でもパクさん、あきらめないでくださいね。損傷と言ってもパターンはそれぞれです。
症状の出かたも人それぞれなんです。半身麻痺とお話しましたがリハビリなどで変化があることもありますから・・・がんばりましょう。病室も個室に移しますね」

「はい、、おねがいします」




今夜はこのままで、明日移動するってことだった。

部屋に戻ると、手を動かしている天音が居た。




「気分はどぉ?」

「うん、平気。ね?ユソン」

「ん?」

「今日って何日?」

「ぁ、、ぁ、予定では明日帰るはずだった」

「・・・そっか。」



それっきり何も言わず目を閉じた天音。


ゆっくり近づいてイスに座り手を握った。





「あのさ、、とにかく今夜はなにも考えないで休も。色々考えるのは明日からにしよ。
まずは身体、、何よりもそこだから・・・大丈夫だから、、今は天音の身体が大切だから」





何も言わず目を閉じたままの天音に話しかける。

握りしめた手を撫でながら・・・




「オレも今夜からここで一緒に寝ることにした(笑)。」

「え?」


やっと目、、開けたすね(笑)






「ここで一緒にね(笑)」



「・・・・・・」

「うれしぃ?」




「・・・・・・」


ぽろっとこぼれた涙を慌ててすくう。





「大丈夫、、だいじょぶだから・・・」

「、、こ、、どもタチ、、、フタリは、、」

「うん、シオンもカノンもね、、早く会いたがってる。だからさ早く元気になって帰ろ。」

「ふぅぇ、、、、、、」





ますます泣いた天音だけど、、泣けばいいって・・・

今は何をどうしても無理なことばかり

今は泣いて、、泣くことで気持ちの整理をつけるしかない。




そう思うから・・・

泣けばいい。

オレがそばにいるから、ずっとずっとそばにいるから・・・











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