腕の中の静けさは・・・
2台のタクシーで病院に到着。


そしたらさっきまで元気だったカノンがピトってオレに引っ付いてきて

「ユソナ?…ココ?」

「うん、そぉ。オンマここにいる」




握られた手。

何度も何度も握り返すカノンの手が冷たくて驚く。



少し先を1人で歩くシオンが振り返るから
カノンと一緒にシオニの元に走った。




病室がある病棟の談話室の前

「先にお前たち3人で行ってこい。オレ達はココで待ってるから」




そう言って笑ったヒョンの顔は天音とそっくりだった。



パク・アマネと書かれた札を3人で確認する。






カノンには事故にあって大きな手術をしてこれから少しの間入院すること、
要はおおまかな事しか話していない。


カノンには自分が話したいって天音が言ったから・・・






時間が止まったみたいに静か。


いつもだったら待ちきれず誰よりも早くファーストアクションを起こすカノンも
今はオレの手を握りしめたままじっとして動かない。

シオンもドアを見つめたまま

ふたりを自分の前に並ばせると静かにドアを開けた。




と、同時に笑顔の天音が目に入る。


途端に

「「オンマーー」」って言いながら同時に駆け出したシオンとカノン。


「ごめんね」って何度も何度も言って泣きながら謝る天音。


シオンもカノンも泣いていた。








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