腕の中の静けさは・・・
「え?、、、どういうことですか?」


「ん、、、本人に聞くのが一番なんですけどきっと話してくれそうにないんですけど・・・
目覚めてもいいはずなのにって状況続きましたよね?」

「はい」

「医学的に考えても目覚めていいはずだったんです。でも医学では説明できないことも起こります」

「はい」

「憶測で話しますね・・・」

「・・・・・」



「奥様は少し前から意識が戻っていたのではないかって(笑)」

「意味あります?」

「意味ですか?」

「意識戻ったのに戻らないふりする意味です」

「ん~~、それこそそこは奥様にしかって話で・・・」

「あ、、すみません」



「いえ、ただボクが思うことは、奥様は状況、、自分に起こった出来事を理解して
今、自分の身に起こっていることを受け入れる時間が欲しかったのかなって・・・」

「でも!そんなこと起きてからでもいいじゃないですか!起きてから一緒に考えればいいじゃないですか、、心配してるのに、、どうしてそんなことする必要あるんですか、、、、」


「そうですよね。ご主人から見たら心配かけといてって思われるのも当然ですよね」

「・・・・・・」

「でも奥様も必死だったんだと思いますよ。動かない体、でも意識は戻って戸惑いますよね。
必死で起こったことを整理して動かない体を受け入れる時間が必要だった」

「でも・・・」

「ボクも同じ夫としてご主人のお気持ちもわかるだけに辛いんですけどね・・・
でも奥さまは声に出して取り乱しそうな自分を必死に抑えて、、きっと奥様はご主人のために、、目覚めた自分が取り乱したりしないように・・・取り乱してご主人に悲しい思いをさせないように・・・静かなまま考えてすべてを受け入れてからって思ったんではないですかね?」





なにも言えなかった。

でもそういわれると、さっきのリップ、、

あの時のあの笑顔の説明がつく、なんて思う自分もいて・・・






「パクさん?」



「あ、はい」

「大丈夫ですか?」

「ぁああ、、」

「とは言ってもボクの憶測に過ぎないですから・・・でも憶測でする話ではなかったのかも

「いえ、、ボクも思い当たるところがあるので・・・」



「そうでしたか・・・でもパクさん。」

「はい」







いつも思う・・・
先生のこの笑顔に救われてるなって。












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