腕の中の静けさは・・・
少し遅れて重なった言葉。


聞き間違いかな?







腕の中から開放して天音を見下ろした。



キレイな月明かりの下、少しハズカしそうにする天音はもっとキレイで・・・

聞き間違いじゃないって・・・









「いいんすか?」

「え?」

「いいの?」

「・・・・・・」

「抱いていぃ?」




コクリうなずいた天音をゆっくり抱き上げた。

その重みに泣きそうになる。





静かな夜。

オレの首に腕を回す天音を抱き上げ、はやる気持ちを抑えるように静かに歩く。


ゲストルームのベッドにゆっくりゆっくり天音をおろす・・・

たぶん考えてることは同じ。



さっきお腹の子言った天音。
きっともう1人って考えてるんすよね・・・



もうムリなのはわかっていても
生きる力になるならって言うオレの思いと、

あの子が自分のもとからいなくなったのは助けたシオンくんのためにじゃなくて
またオレたちの元に舞い降りる子のためにって言う天音の思い。

思いの丈は違っても・・・・・・






こんなにドキドキしたの久しぶりかもしれない。







ゆっくりキスをする。




もう一度離れて確認する。



「天音?」って。

コクコクうなずく天音が声にする。




「でもちゃんとできるのかわからないから・・・・」って。





は?

そんなこと心配いらない。
ずっとずっとそうしたかったんすから……。


抱きたかったんすから……。









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