腕の中の静けさは・・・
「オンマ?」

「ん?シオナ・・・」

「大丈夫だよ行こ?」

「・・・」

「カノンの言うとおりだよ。ボクもアッパもいる。だから大丈夫。」

「シオニ・・・」

「っていうかさボクもオンマと行きたい(笑)」




ふたりの後ろから近づくと、そんな会話が聞こえてきて・・・


「あ、アッパ(笑)カノンは?」

「もう玄関(笑)」

「え!ボクも行くよ?カノンがあぶないから!!じゃね!!」」


そんなシオンにふたりで顔を見合わす・・・(笑)





天音を抱き上げると「待ってよユソン」って不安そうな声が聞こえる。



「行こうよ?」

「でも・・・」

「あんなにうれしそうなんすよ?行かないとかないでしょ?」


オレの視線をたどる天音にも見えてるでしょ?
うれしそうなシオンとカノンの笑顔が・・・







「オンマぁ~~ユソナァ~~はやく~~~~」大はしゃぎのカノン。


天音も笑っていて・・・
久しぶりに乗った車イスの上、ひざ掛けを整えながら「お願いします」って声が聞こえた。


「了解!!」






自分で動かすことはムリだけど乗れるってことが少しでも天音の心が軽くなればいい。



「そっか、、そうだよね」

「ん?」

「私が素直に乗れば移動が楽なんだよね・・・」


「あ?ん~オレ的には天音に触る口実になるから(笑)全然いいんすけどね(笑)」




普段なら移動は抱き上げて・・・

その抱き上げての移動も乗ればって思ってくれたみたいで、
こういう小さい事の1つ1つがイイ方向に向かえばいいなって・・・




青空の中。
楽しそうな子どもたちの笑顔は少し塞ぎ込んでいた天音に心に癒しを与えたようだった。



楽しそうな天音の笑顔を見られて
オレは何度も何度も同じ言葉を繰り返した。



このまま・・・・・
ずっとずっとこのまま家族で居させてくださいって・・・

これ以上なんて望まないから


このままって・・・・・









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