腕の中の静けさは・・・
でも現実はそう思うようには進まないってことを思い知らされる。

11月半ばを過ぎようとした頃から嘔吐や発作や痙攣が頻繁に起こるようになった。
子供たちを説得して病院へ戻ることにした。




アメリカと日本へも連絡を取る。
子供たちのこともあるってすぐに駆けつけてくれたアボジとオモニ。

ヒョン(お兄さん)は海外に出張中だった。







熱も高くなって呼吸器が取り付けられた。
「ごめんね」って繰り返す天音の手を握る。

「大丈夫だから」って子供たちを家に連れて帰ってもらって先生と話をした。


後悔はしていない。
ちゃんと説明を受けて納得して家に連れて帰った。
得策ではないけれどと言ってくれた先生の意図をしっかり理解していた。

はずだったけど、、



でもあのまま病院に居たらどうなっていたかは想像がつく。
あんな穏やかな日々ではなかったに違いない。

子供たちとの時間が天音にとってどんなに幸せだったか・・・
家族の笑顔があふれていた時間だった。





「せんせい、、ありがとうございました。」

「そんな、、ボクは何も、、」

「いえ、本当に感謝してるんです。子供たちも笑ってたし、彼女もたくさん笑ってました。
かけがえのない時間を提案してくださった先生に本当に感謝してるんです。」

「パクさん・・・」




辛そうな声を出す先生を見つめると微かに微笑みを返してくれた。




「せんせい、、ボクやっぱり我慢できなくて、、(笑)」

「ぇ、、あ、ああ、、そうでしたか。で、どうでした?、あぁ、すみません」

「聞いてくれますか?」

「もちろん」



「も、ほんと幸せでした。ボクも実は不安で不安でどうしょもなかったんだと思うんですよね」

「はい」

「あんなことで彼女を確認とかっていうのも悔しいんですけどね(笑)」

「なに言ってるんですか、1番わかりやすい確認方法じゃないですか(笑)」

「(笑)あはっ、、、」


「大切な人を腕の中で感じることができる喜びは何事にもかえがたいことなんだと思います・・・」

「せんせぇ、、、ぅぅぐぅ、、、」





一緒に泣いてくれた先生と別れてICUへ戻る。










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