満月の夜異世界へと繋がりました
ふっと王子の意識が途切れたのがわかった
今、会話をしていたはずの目の前の王子がぐったりしている
どうしよう!!
どうすればいい?
今のあたしには魔力に関する知識は皆無に等しい
こんなことならもっと魔力や魔法のことを勉強しておくんだった!
でも今そんな後悔してもどうしようもない、目の前の王子を助けなければ!でもどうやって?


聞こえて来たのは秘薬に魔力を注ぐというもの
あたしに出来るかどうかわからない
けど王子はあたしを助けようとこんなことになった
なんとしてでも助けなければ!
気が付けば目の前の真っ赤なドレスを着た女の子に向かって言葉を発していた。

「わ、私!私がやります!」


「……は?」


「私の魔力を使って下さい!」


あれ?この女の子……確か図書館で会った!身なりからしてかなりの家柄の姫だというのが解る
可愛らしい見た目に反して女の子はあたしを射貫くような瞳で見つめている、何か強い意識のようなものが
感じられて…なんだか瞳だけでこの子に射殺されそう……
咄嗟にそんなことを思っていた


「あなたが王子様を助ける?」


「はい!私がやり「認めないわ!あなたが何処の誰だか知らないけど王子様はこの国の王族なのよ!見たところあなたのせいで王子様はこんなことになったのにそれが許されると思うの?」


「で、でも!「リ、リリアナ様!王子様の脈が弱くなっています!時間がありません!」


魔法省の人が焦って秘薬を飲ませようとしている、助けなきゃ!
そう思ったあたしは気が付けば身体が自然と動いていた
私は咄嗟に魔法省の人から秘薬を取り返すと気が付けば口に含んで口移しで王子に飲ませていた


意識を取り戻して……!
お願い!



その後どうなったのかはわからない
身体中の力が抜けて護衛の兵士達に何処かに連れて行かれたのはわかった、気が付けばあたしは冷たい牢屋の中にひとり佇んでいた







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