満月の夜異世界へと繋がりました
「治せるってお前が?!」


「はい!!ダメもとでもやるだけやってみたいんです!お願いします」


ペコリと頭を下げると隣から視線を感じて彼女とふと目が合った


「こいつらのこと助けんのか?」


「え!!····」


 
「さっきの水見ただろ?
あの薄汚れた水何処から汲んでくるか知ってるのか?外にある非常用の雨水だ!!あいつらが飲んでるのは綺麗な井戸水でここでの食事なんて犬も食わないような固いパンがひとつ与えられればいいほうだ!!ちょっとでもあいつらに逆らえば死ぬまで痛めつけられるんだぞ!!そんなやつらのことお前は助けんのか?!」


「お前じゃない····美結」


「あぁ?!」


「あたしの名前美結って言うの、それから覚えておいて!失っていい命なんて何ひとつないんだから!!あたしはそう信じてるんだから!!だから治療するからここ開けて!」


「いや····しかし囚人の牢を開ける
となると上の者の許可が····「モタモタしてるとその兵士さん死んじゃうわよ!そうなったらあなた責任とれるの?早くしないとあなた一生後悔する
わよ!ねえったら!!」


悲鳴のようなあたしの叫びに心を動かされたのか門番の兵士は無言で牢に近くと鍵を取り出した


「助けられんのか?」


「えっ?!「あいつ俺の幼馴染なんだ、親友をよろしく頼む」


私と同じ黒髪で浅黒い肌の彼はそう呟くと牢を開け私を出してくれた
すぐさま鍵を掛けると他の囚人達がかなり文句を言っていたけど全員を出すのはやっぱり無理みたい
そうだよね、あくまで治療の為に出してもらえたんだし····


「何か布のようなもの····ハンカチでもいいんだけどあるかな?」


「ハンカチ!?そんなもの俺達持ってるはずねえだろ!?布なら何でもいいのか?」


「うん!!とりあえず人数分口元を覆いたいから持ってきて欲しいの!」


「わかった!!」


私は熱でぐったりしている彼を見てある仮説をたてていた
これはもしや感染症なのではないかと·····
感染症って言っても色々あるからこれって一概には決められない
インフルエンザ、風疹、麻疹、思い浮かべるだけでもかなりある
あたしは医師ではない
治癒魔法が少し使えるってだけで彼の病気が直るかは神のみぞ知るってとこだ、とりあえずウダウダ考えるよりやってみよう!!


私は口元を布でしっかり覆うとゆっくりと治癒魔法を流し込んだ













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