満月の夜異世界へと繋がりました
「美結、病気を治すのに一番大事なのは治って欲しい元気になって欲しいって思うあなたの心よ」


「心····?」


「美結はその気持ちを忘れないでいてくれたらお母さんとっても嬉しいな」




小さい頃病気になるとお母さんがそんなことをよく口にしていたのを今更ながら思い出した
不思議とお母さんがあたしの身体にそっと触れるだけで随分体調がよくなったのを子供ながらに薄っすら覚えている、気のせいかな?


お母さんあたしやるだけやってみるね
まだ熱で苦しそうな彼に魔力を流し続けた、あんまり魔力を使うとあたしが倒れちゃうから程々にだけど····


ふわりと暖かな魔力が彼を包んでる
のが自分でもわかる
するとどれ位時間がたったのだろう
彼の呼吸が穏やかになっていて気が付いたら薄っすら目を開いて私達を見つめていた
  

「あ、あれ?俺なんで····って女神さま?」


「何言ってんだよ!!!!女神ってお前気が付いたのかよ〜!!心配させんなよ!!」


「良かった~熱は下がったみたいね?
気分はどう?体調は?」


「まだ少し怠い感じがするけど大丈夫っす!!あの、貴方が治療してくれたんですか?」


「そうよ、高熱で倒れたあなたを見ていられなくて···まだ熱が下がっただけで油断は出来ないけどとりあえず無理は禁物よ」


「はい!!!ありがとうございます!」


まるで野球少年のようなノリにちょっと苦笑い
彼を治療したお陰なのかその後牢の中での待遇が格段に向上し汚い水を飲むことなくなり食事のこともお腹いっぱい食べられるようになったのはここだけの秘密
< 120 / 175 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop