満月の夜異世界へと繋がりました
30分程馬車を走らせた郊外にそれは現れた
馬車を降りて小さな森を抜けると川らしき光景が目に飛びこんできた



か、川が·····え!····水が少ない
川なんだけど圧倒的に水が少ない
日本にも川があるけど水の量が段違いだ、たとえて言うなら日本で見た川はたっぷんたっぷんでこちらの川はヒタヒタって感じ


護衛の騎士さん数人と王子とあたしで
呆然と立ち尽くす


「これは·····想像以上だな」
「殿下、川がこの状態なら井戸もこれ以上かと」


側にいた騎士さんがポツリとつぶやく
日本だったら巨大なダムとかがあるからあまり今日明日飲み水がないってことはまずないけどこの世界では命の危機に直結する
一体どうすれば·····



ん?····

あれ?なんだろ?
気のせいかな、川の辺りに小さなお人形のようなのが見えるんだけど
あたしは無意識に惹きつけられるように川へと近づく


あっ!!可愛い!
背中に羽が付いた小さな男の子らしき子が川の真ん中に座っている

「?·····み、美結?」
「王子·····あそこに男の子が···え?か、可愛い!!」


好奇心を抑えられずゆっくり近づくと川辺にしゃがみ込んで声をかけた


「こんにちは、あたしは美結って言うのあなたの名前は?」


小さなもふもふヘアの背中に羽のある小さな男の子は心底驚いたように
振り返った


「·······」
「そこにいると危ないよ!お姉さんのところに「き·····君は僕が見えるの?!」「見えるよ」


あたしの言葉に男の子は大きく目を見開いた


「美結?一体誰と話してんだ?」
「川の真ん中辺りに男の子が見えるの
とっても可愛いモフモフの男の子、ほらあの辺りに····」



「残念ながら僕が見えてるのは君だけだと思うよ」


え!?あたしだけ?
見えてるのはあたしだけってそれは一体どう言うこと?!






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