満月の夜異世界へと繋がりました
「水辺には水の精霊、森には森の精霊が必ず居ると伝えられているんだ
流石は精霊だけあるな····近年稀に見る魔力だ、しかし何故美結にだけ姿が見えるのであろう」


そう言って考えこんだ王子は私を穴が開くほど見つめている
そんなこと言われたって何故なんだかあたしにもわかんないよ
でも、もしかして異世界から来たのが関係してるのかな?
ふとそんなことを思っていると水の精霊の男の子が意外なことを言い出した
 
「彼女から感じる魔力はとっても心地いいし何だか甘い匂いがするんだよ
それに魂が綺麗で惹きつけられるからじゃないのかな?ねえ美結ちゃんって言ったよね?」


「ええ、そうよ」
「僕のお願いを聞いてくれたら水不足の件なんとかしてみようと思うんだけどどうかな?」


「ほ·····本当!?でもお願いって一体
「簡単なことだよ、君の魔力を僕に
少し頂戴?」


え!ま·····魔力?


「こんなにも甘くて芳しい魔力は久しぶりだから味わってみたいんだよ、駄目かな?」
「いいよ····魔力切れがちょっと心配だけど」


「美結?!魔力切れってなんだ?何を話してる?「大丈夫····心配ないから」


あたしが王子の手をきゅっと握り締める、どんなことになるかわかんないけどやるだけのことはやろうって私は心に決めていた

「大丈夫だよ、そんな魔力切れする程なんて僕も馬鹿じゃないからね
じゃあ早速いいかな?」


水の精霊の言葉に頷くといつの間にか彼はあたしの目の前に居て唇に軽く触れるようなキスをしたのがわかった


あれ?終わった?
なんだか一瞬身体がほんのり暖かいような·····


「ありがと〜やっぱり美結ちゃんの魔力は甘くて芳しいな」
「良かった!! ところで精霊さん貴方の名前は何て言うの?」
「僕に名前なんてないよ」


「じゃああたしが名前つけてあげてもいい?」


あたしの言葉に目を見開いている彼
そんなに驚くことなんだろうか

「ぼ·····僕に名前を付けてくれるの?!」「うん!!そうね〜何がいいかな
う〜ん····そうだ、ミクル!!ミクルがいい!どうかな?」


「ミクル?それが僕の名前····うん!
凄く気にいったよ!!美結ありがとう」
「どういたしまして〜」


あたしはミクルのふわふわの頭をクシャリと撫でた


「美結···名前のお礼と言っては何だけど君に水の精霊の加護を付けてあげるよ」


「精霊の加護?」


「君が居る場所は全て水の加護を受けられる、言い方を変えると美結ちゃんがいる限り水に困ることはない
まあ、そういうことかな?」


水の精霊ミクルは突然そんなことを言いだしてあたしの度肝を抜いたのだった














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