満月の夜異世界へと繋がりました
「美結様、最近何か変わったことはありませんか?」


「変わったこと?特にないよ?でもいったいどうして?」


「いや····久し振りにお会いしてなんだか少し痩せたような気がしたものですから」


魔法省に所属する王子の側近であり
親友であるマイクがそんなことを言い出した。今日はリルモンドの首都を中心に井戸が干上がってるところを見て周りあたしの魔力を出来るだけ注いで周っている。


マイクによると水の精霊の加護を受けているからあたしが国内に居るだけで魔力がじわじわと満ちてくるんだけど国全体に回るには時間がかかるらしいのだ、だからあたしが出来る限り
全国各地を見て周りたいって言ったんだけど首都圏内ならってことで王子のお許しがようやく出てマイクと魔法省のひと数人で魔力を注いでるって訳、まあ魔力にも限りがあるから
大変なんだけど皆んなの喜ぶ顔が嬉しくて頑張れるってのが本音


水の加護がある人間がいるだけで自然に水が満ちてくるのは国内全部で大体1ヶ月位はかかるんだとか
そんなの待ってられないし!!
水がなけりゃ人間は生きられないもの


「あたしは大丈夫だけど本当は国中を周ってほしいんだよね?」


「本音を言えばそうなんですが王子が
クビを縦に振らなくて、でも美結様にも迷惑かけてしまっているので心苦しいのではあるんですが」


マイクはそう呟くと溜め息をついた
今はちょうど帰りの馬車の中
干上がった井戸に魔力を注いだ帰り道今日も喜んでもらえたなって思いながらお城へと急ぐ
やっぱり王子に現状報告とかあるからね、今現在実質政務をとってるのは王子みたいだからなかなか城を離れるのは難しいみたい
なんでも国王陛下の体調が最近思わしくなく王子が政務を代行せざるを得ない状況なんだとか


だから最近なかなか会えないしあたしのほうにも色々なことが起きてたりする、たぶんマイクが痩せたって言ってるのは事実だと思う
この頃王子の目が届かないのをいいことに実は色々な嫌がらせを受けてたりする
今日の朝ご飯も腐ってる果物とかパンが出てきたしまともにご飯食べれてない
洗濯もしてくれないので自分で洗ってたりする、あぁ洗濯機が欲しいって切実に思うわ〜


お城の中や城下では水の精霊の加護を受けたあたしを救世主のように扱う人達と平民風情がって言う人達と
半々になっている
まあ、明らかに王子のお気に入りってんで面白くない人もいるようでそろそろお城を出たほうが気楽かなって思っていたりする

「王子には言わないんですか?」


「な、何をですか?!」


「この間美結さんが洗濯をしているのを偶然なんですが見てしまいました」


マイクの言葉に一瞬目を見開くとそのまま固まってしまっていた







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