満月の夜異世界へと繋がりました
「お····王子?!」


「普段から何か欲しいものはあるか?
って俺が言っても何もいらないって言うばかりなのにこのようなことを突然言い出すとは全く····」


「王子····」


「美結がこんなことを言いだすということはこれはもう決定事項で覆せないことなのであろう?」


王子がそう問いかけると私の頬を愛おしそうに撫でる
自分でも薄っすら頬が赤くなるのがわかってもの凄く恥ずかしい
王子の射抜くような視線に息が止まりそう····
でもあたしは今、彼を説得しなければ魔法の勉強は出来ないと心を奮い立たせ深呼吸をひとつすると彼を見つめた


「この国に来たからにはあたしももっと必要とされる人間になりたいの
だから基礎からきちんと魔法の勉強がしたい····王子!!お願いします!」


「はあ〜っそんなに必死にお願いされたらもう頷くしかないだろ···ドレスも宝石もいらないって見向きもしないのに魔法の勉強にこんなに熱心だとはまいったよ····」

「じゃあ····いいの?!」


「いいも何も、もう決めてるんだろ?
とりあえず神殿に魔力量の測定をしに行ってからだな····魔法省に入るのはそれからだ」


「きゃー!!王子ありがとう大好き!!」


思わず抱きついたあたしのこめかみや額に王子が軽くキスをする
ふたりだけの世界を作っていたからすっかり忘れていた
背後から軽い咳払いがあたしの耳に聞こえてきて瞬時に王子から離れたのだった
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