満月の夜異世界へと繋がりました
「まずわたくしが王子様と無事結婚式を挙げ王妃となったら貴方を愛人として認めてあげましょう、どうかしら?いい提案だと思わない?」


リリアナ様の提案とやらに思わず息を呑んだ、この人どういうつもりなんだろ?王子と結婚するのに愛人だなんて·····王子のことを愛してるんじゃないの?あ、愛人って····


「仰ってる意味がよくわからないのですが」

「わからないってどういうことかしら?」


「リリアナ様は王子様のことを愛してはいないのですか?本当に愛していたらわたしに愛人になれだなんて言えないはず」


「ふふふっ····あははははっ!!今なんて?愛?!そんなものあるはずがないわ、わたくしが欲しいのは王妃の地位のみ!!」


「リリアナ様·····」


わたしが彼女の名前を呟くと横沢くんに視線を移した
それだけのことなのに意味が通じたのかあっという間にこの場にいるのはわたしとリリアナ様の二人だけになる。
張り詰めた空気がわたしの緊張感を増したかと思うと信じられない言葉が彼女の口から発せられた


「王子様と貴方の産んだ子供をわたくしの子供としたいのだけどどうかしら?」


え、えっ······今なんて?


「我ながらいい提案だと思わない?ふふふっ」



彼女の笑顔の前に身体が凍りつく
思考が停止すると頭の中が真っ白になったような気がした









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