満月の夜異世界へと繋がりました
はあ·····
き、気まずい
気まずいったらない
私は王子にリリアナ様の所から無理矢理連れられ引っ張ってこられたのは
薔薇が沢山ある庭園のある場所
確かここは王族しか入れない庭園って聞いたような·····?
そんな場所に王族でもないあたしが入っていいのかって思うんだけどまあ王子が一緒だからいいのか?!
ただベンチに座ると黙ったまま遠くを見つめることかれこれ数分経つ
どうすればいい?
何から話せばいい?
あたしの頭の中を駆け巡るのはリリアナ様のあの言葉


妹を殺した人殺し



この言葉がさっきから頭から離れない
私は唇を噛みしめると隣に座る王子がポツリと呟くように話しだした


「この庭園は先代王の母、父上のお祖母様が特に好きだった庭園でよく子供の頃俺も遊んだものだ」


「王子·····「リリアナは何か言ってなかったか?」

「え·····あの、それは·····えっと」

「ふっ、美結を困らせてしまったかな
でも大体想像が付く····」


そう呟くと深いため息をつく
王子はあたしの手を握り締めたまま
薔薇園の薔薇を見つめると振り絞るように話し始めた

 
「リリアナは俺を憎んでいるだろ、殺したいほどにな」



薔薇の香り漂う庭園で突然の王子の言葉に一瞬身体中が強張ったような気がした


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