満月の夜異世界へと繋がりました
「俺がこの国の王子である資格があるんだろうか」


「王子・・・・」


「時折考えるんだ、ごく普通の平凡な家庭に生まれていたらって」


「俺自身はこんなにも弱いのに良かれと思ってしたことで知らず知らずのうちに誰かを傷つけてしまっていた」


そう呟いてうつむいたまま王子は深いため息をつく
私は弱った子供のような王子の肩をそっと無意識に抱きしめていた


「ため息をつくと幸せが逃げるよ」


「あ?」


「わたしの住んでいた元の世界ではそう言われてる」


「そうか・・・・」


「ねえ、あたしじゃ力になれないかな?話すと楽になるよ、王子である資格があるとかないとか考えるよりも周りにもっと頼って助けを求めることも時には必要なんじゃないかな?」


「美結・・・・」


王子の肩に力を込めて再びそっと抱きしめる
すると王子が突然抱きしめられていた腕をほどいたかと思うと優しく笑みを浮かべる

「これから話すことは王子である俺と国王陛下、前国王陛下しか知らないことであり他言無用だ」


私は王子の言葉に並々ならぬ決意を感じただ頷いていた





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