満月の夜異世界へと繋がりました
俺の護衛騎士のひとりであるギルティは父上の弟である叔父のアルバート公の家臣でもあった。
国境の小さな領地、男爵家の養子で
あり元は平民である
類まれなる魔力の高さを買われ子の居ない叔父が養子に迎えた
リルモンド帝国の次期国王である俺の護衛ともなるとそれなりの家柄でなければならないが叔父であるアルバート公の息子であるなら安心であると俺は全幅の信頼を寄せていた
そんな時何処から共なく聞こえて来た



叔父上であるアルバート公が私兵を増強している、帝位簒奪を企て王位を狙っていると·····



噂はあくまで噂である
父上はしばし様子を見ようと静観していたが噂は静まるどころか国中に広まっていた。
そんな中静かに愛を育んでいた叔父上の息子であるギルティとシンシア
二人は叔父であるアルバート公に自分達の思いを打ち明ける


二人は真剣に愛しあっていて結婚を考えていると·····


たが叔父上はそれを許さなかった
今はその時ではないと·····
元平民であるギルティはシンシア孃とは一緒にはなれない
身分の差ももちろんあるが相手を選ぶならそれは王位を得てからであると


心配するな、養子ではあるが自分を信じていれば王位はお前の物だ


ギルティは義父の言葉が信じられなかった。
王位?そんなもの俺は望んではいない
俺が望むのは·····
シンシアとの暖かい平穏な暮らし
彼女がいれば何もいらない
ギルティは親友である同僚にそう言ったことがあるそうだ


噂で世間が揺れている頃護衛騎士ギルティとシンシアは王宮から姿を消す
リルモンド帝国に初雪が降った寒い冬のことだった


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