満月の夜異世界へと繋がりました
「おい!こんな遅い時間に女の一人歩きとはどうしたのだ?怪しい奴だ顔を見せよ」

か・・・・顔?!
待って、どうしよう
ここは黙って従うべき?それとも走って逃げる?
でも仮に走って逃げても相手は馬に乗っているのならすぐに追いつかれる
でも、顔を見られるのはまずいかも・・・
嫌な予感しかない、あたしの感は外れたことがないからたぶん間違いない
この・・・・目の前にいるひとは・・・・


「美結・・・・・」


ローブのフードを取られて自分の名を呼ぶ声にぴくりと反応してしまう、そんな自分が物凄く嫌だ
声だけでわかってしまう・・・・


「王子・・・・」
「女が一人で夜の散歩とはいただけないな」


ふわりと抱きしめられる
それだけで心が躍る
思いが加速して心が王子を求めているのが自分でもわかる
だけどあたしは・・・・


「な、なんで?「俺を舐めてもらっちゃ困る、気づかなかったか?美結の着ているそのワンピースは一見見たところ極普通のものだ・・・だが普通とは違う」

「そのワンピースのボタンには追跡魔法が施されている魔法石が埋め込まれている
城を出た瞬間この魔道具である指輪が方向を指し示すように術が施されている」

王子はそう言うと自分がしている指輪をあたしに見せた
銀色で緑色の石が埋め込まれている見たところ普通の指輪みたいだけど
もしかして王子が言っているのはGPSみたいなもの?
だとしたら最初から王子はあたしがいつか逃げ出すことを見越していた?

「美結・・・・俺のお前への思いを舐めるな」

王子・・・・


「帰るぞ、話は帰ってからじっくり聞こう」


王子はあたしを馬に乗せると驚くほどの速さで走り出した
お付きの何人かの護衛騎士がついていけないほどの速さだった
逃げれなかった・・・・どうしよう
あたし、どうすればいい?
頭の中でぐるぐる考えているけど王子はまっすぐにお城へと向かっている
考えがまとまらないまま馬上を駆けていると一台の馬車が倒れているのが見えた
え?事故・・・・?
もしかしてけが人がいる?

「王子!!止まって」
「美結?「馬車が倒れてるの、怪我人がいるかも」

あたしの言葉で必死さが伝わったのだろう
王子は馬を止めるとあたしをゆっくりと地面へ降ろした
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