満月の夜異世界へと繋がりました
「美結さん、この選択はあなたに任せよう・・・・息子の伴侶になるのももう反対はしない妻になる道を選んだのならこの国王であるわたしが全力で応援しよう、それ以外の道を選んだとしてもわたしに出来ることならば力になりたい彼女への罪滅ぼしと言っては君に恨まれるかもしれないが・・・・」

「陛下・・・・わたしは」



あれからどれくらい月日がたったのであろう
陛下の治療をしてから半月後あたしはリルモンド帝国直属の冒険者ギルドで治癒魔法師として登録しこの王都で働き始めた
王子の伴侶にってことだったんだけど風の噂で黒髪黒目の女の子の治癒魔法師のことが噂になりあたしのことが王都中の関心事になりつつあった
あたしが治療をしてあげた患者さんから口コミで噂は噂を呼びあたしは治癒魔法師として働くことを決めた
でも、王子の思いは揺るがなかったらしく働く期間を決められてしまったのは仕方ないかなって思う
っていうか・・・・・半年だけなんて

「もっとこの国のことが知りたいのに・・・・王子の妻になってもギルドに登録しているからにはたまには治癒魔法師として働いてもいいと思うんだけど」

「そんなこと無理にきまってるじゃないですか!あなたはもう未来の王妃様なんですよ」

「あははは・・・・わかってますう」

苦笑いを浮かべながら話すあたしの傍らにいるのは王子の側近であるマイクであり
ため息をついているのはジョージだ


「ギルドで働きながらってのが無理がある、外の世界をみたいからって陛下も甘すぎる」
「まあまあ!!ジョージその辺で・・・聖女に認定されたのであなたの我儘も
これが限界です他国には聖女を欲するものは幾多もあるのをお忘れなく」

あたしが黙って頷くとギルドにあるあたし専用の個室のソファにもたれかかった
専用個室なんてあるのはまあそれは王室特権ってやつ?
これが嫌なら働かせないって脅されたからまあ仕方なくって感じ
ちょっとずるいかもしれないけどあたしはこの国で自分の力だけで一度でいいから働きたかった・・・・そう言ったら王子から半年限定って妥協案が示されたって訳

「そろそろ来るころですね・・・・「え?来る頃?」
「美結、王子に決まってんだろほら噂をすれば・・・・」


「美結!!!」

お、王子!!
いつもとは違うお忍び用の平民服を着ているけれどやっぱり育ちの良さが隠せない

「美結・・・会いたかった」
「ちょ、ちょっと!!人前でこんな!!」
「は?婚約者を抱きしめてなにが悪いさあ迎えに来たぞ今日も異世界の話を聞かせてくれ」

そう言って額にキスをする王子を憎めないあたし
ああ、やっぱり大好き・・・・そう思うひとがいるだけできっと幸せだ
すっかり日も暮れてあの日繋がった日と同じ満月をあたしは彼と見ている
今見ている満月は一人ではなく愛しい人とふたりで見ている
こんな日がいつまでも続きますように
あたしはそう願うだけではなく努力をし続けよう
そう固く心に誓っていた
満月の夜に・・・・
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