満月の夜異世界へと繋がりました
「ぽっちゃりの話は面白いな、何時間でも聞いていられる…そなた学校でも人気者だろうな」

「そんなこと…人気者なんて…」

ある訳がない…
その言葉を胸の奥に呑み込んだ
小さい頃両親が亡くなってひとりで生きてきた…
この外見と頬にある目立つ痣
その為なのか幾度となくイジメにあってきて…頼れる物は勉強しかなかった、だって成績がよければ先生だって何も言わないし庇ってもらえた
勉強はあたしを守ってくれる…孤児のあたしの鎧だった


「美結!おまえ…泣いてるのか?」

「泣いて…なんかない」

「強がるんじゃない!お前の目から出てるのは何だ?涙じゃないのか?」

「涙じゃないし!汗だもん」

「ほ~そっちの世界の人間は目から汗が出るらしいな」

「……」

「おい!俺には弱みを見せてもいいんだぞ!美結の腹の中の想いをぶつけてみろ、俺も美結になら愚痴や日頃のうっぷんを言いやすいから言わせてもらう」


「ありがと~」


この日からだったかも知れない
まるで同士のような不思議な異世界の男子がひとり、あたしの数少ない友人として加わった日となった
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