満月の夜異世界へと繋がりました
集中して治療をする彼女の額には薄っすらと脂汗が滲んでいる
手元を見ると白っぽい光をお腹に当てている、だいぶ楽になったようだけどまだ少し苦しそうだ
すると彼女はゆっくりと息を吐くとあたしのほうをチラリと見て意外なことを口走った

「美結!次やってみて」

え!やるって…え?
う…嘘!冗談だよね

「何してるの!早く治療して!患者はまだ苦しんでるのよ!モタモタしてると死んじゃうわよ!」

「は、はい!」


彼女の死んじゃうと言う言葉に無意識に身体が動く
あたしに出来るかどうか判らないけれど精一杯やってみよう、命を助けなきゃ!


腕まくりをすると目を閉じて深呼吸
をする…手をそっとかざすと再び目を閉じたまま心の中で願い続けた
治って!どうか痛みを取って!
それからどれ位治療をしていただろうか、終わった瞬間だけを覚えている…美結!よく頑張ったってマ−シーさんの言葉

その言葉だけが妙に頭に残ったままあたしの意識はそこでぷっつり途絶えた







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