満月の夜異世界へと繋がりました
暖かい…何かに包まれているような感じがする…

なんだろう?身体中守ってくれているような安心感

いつまでもこうしていたい
そう思いながらそっと手を伸ばすとあたしの手を誰かがぱっと掴んだ


えっ…?!だ、誰?


思わず驚いてぱっと目を開ける
目の前の人物に驚きのあまり声が出なくてひゅっと声にならない声が自分の口から出たのがわかった
だって…だって、な、何で…


「お、王子?!」

「美結、王子ではなく名前で呼んで」

「え?な、名前?」


「そう、名前だ呼んでみろ」


至近距離で見つめる王子はあたしの頬をそっと撫でると耳元で呟いた
頭の中で色んなことが駆け巡る
どうして王子とひとつのベッドで抱きしめられて寝ているの?
所々記憶が曖昧で思いだせない
確かあたし治療したあとア−サ−さんに馬車で送ってもらって…
それから…あれ?


「オリバー…?えっと…あたし何がなんだか」


「ア−サ−に連絡もらってすっ飛んで来た!まさかリルモンドに来ているとは…思いもしない」

そう呟くと腕枕をしたままの王子はそっとあたしを抱きしめた
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