満月の夜異世界へと繋がりました
「何処へ行く?まだ休んでいろ」

「王子!あたしと一緒にいた人は?マ−シ−さんは?」

「あぁ、彼女はきちんと宿泊先まで送って行ったぞ心配するな」

王子はそう言うと口元が弧を描きあたしに微笑みかけた
ドキリと心臓が波打つ、無駄にイケメンだから恋愛偏差値ゼロのあたしは
戸惑っちゃうよ、落ち着け!落ち着くのよ!心の中で何度も自分に言い聞かせた

「美結、魔力量の測定と戸籍の手続きに来たそうだな、全部城内で出来るように手配しておいたぞ」

「あ、え?あ…ありがとう」


え、ちょ、ちょっと待って!
今更だけど此処って何処?
も、もしかしてお城だよね?
ぐるりと見渡すとあたしが寝かされていたのはかなり豪華な天蓋付のベッド、白で統一された家具は素人目にも重厚感があり部屋のあちらこちらに施された彫刻が見事としか言いようがない、嫌な予感しかないけどこの部屋はおそらく…だよね?

「王子!此処はお城だよね?」

「あぁ、紛れもなく城であり、此処は俺の部屋でもある」


「……!ご、ごめんなさい!あ、あたしったらす、すぐ帰ります!」


「そんなに慌てなくても…体調が戻ったばかりなのだから今日は此処に泊まっていけ」


「い、いや~そんな訳には…」


と、言いかけた途端あたしのお腹の虫がぐう~っと鳴った
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