満月の夜異世界へと繋がりました
「王子様は姫様のことがとっても大事なんですね~」


「い、いや~そんなことはないと思うけど…」


王子が少し席を外した途端メイドであるユリアちゃんがポツリと呟いた。

「王子は安全に魔法を解こうとしているだけであたしの事なんて可哀そうだなって思ってるだけだよ~大事だなんてそんなこと無いと思うけど」


「そんなもんなんですかね~」


王子がいつも執務室でしている仕事を部屋でするようになったのはあたしの魔法を王子自ら解くことに決定したその日のこと。
なんでも一国の王子自らが個人の魔法を解こうとするなど異例中の異例なんだとか!リルモンド帝国でもかなり高位の魔法師になる王子
父親である国王陛下には魔法省の者にやらせては?という提案もあったそうなんだけどユリアちゃん曰くあたしの魔法を解くことに関しては自分がやると言って聞かなかったらしい
公務をきちんとやることを条件に国王陛下に許して貰ったんだとか
だからいっその事自分の部屋でやったほうが都合がいいと考えたみたい
まあ、そうだよね~あたしが泊まってる部屋、王子の部屋と扉一枚で繋がってる、だから色々と便利らしいんだけど…ユリアちゃんに言わせると王子のあたしに対する態度が他の人に対する態度と全く違うらしいのだ。


あたしは自分の身に魔法が掛けられているなんて自覚は全く無いんだけど確かに王子は過保護かも…甘いかもしれない。
特に魔法を解くときにはそれを実感する、大丈夫か?気分はどうだ?
その言葉を何度聞いたことか…
今日も公務を終えると足早にあたしの部屋にやってきて魔法を解こうとやってきていた





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