満月の夜異世界へと繋がりました
それから毎日午前中は図書館、午後からは王子に魔法を解いて貰い余った時間はユリアちゃんに読み書きを教える時間となった
不思議なことにこの国の文字がスラスラ読めるし書けることに自分ながら驚いた、今日は王子が公務が長引くと言われていたので午後からもユリアちゃんと一緒に図書館に連れ立って来ていた。
簡単な絵本位なら読めるようになった彼女は今、本を読むのがかなり楽しいらしい。
あたしは何か違う本を借りようと立ち上がり本棚へと向かう
するとひとりの女の子が目に入って来た。豪華な薄いピンク色のドレス
波打つ髪は金色で必死に自分の頭上にある本を取ろうとしていた

「はい、どうぞ!探してる本はこれかな?」

「あ、ありがとう」


あたしは彼女の取ろうとしていた本を取って彼女に渡すと恥ずかしそうに笑みを浮かべる、菫色の瞳の美少女は大きな瞳が印象的な笑顔の可愛い女の子だった

「あの…あなたも今日のお茶会へ?」

お茶会?え?何のことだろ?
頭の中が疑問符で一杯になっていると図書館にバタバタと走ってくる誰かの足音、見たところこちらへと向かっている


「リリアナお嬢様又、こちらにいらしたんですか、捜しましたよ!さあ王子様がお待ちかねですお早く」


「どうしても行かないと行けないの?
あたしはお茶会よりもここで本を読んでいたいのに」


「いけません!お母様にまた叱られますよ、さあさあ!」


引きずられるように連れて行かれる彼女を呆気に取られぼう然と見送った、でも何やら王子がどうのって言ってたけど…

「貴族のご令嬢が集って開かれる王子様主催のお茶会のことでしょう
まあ、お見合いといったところですかね~王子様ももう20歳でいらっしゃいますから遅い位ですよ」

ユリアちゃんがポツリと呟いた
そうだよね、王子様だもんね
日本だったら20歳で結婚ってかなり早いけどこの国では違うんだろうな
あたしと話しているとそんなことは全く感じないけどやっぱり王子様なんだな…


身分が違う
素直にそう思う
見えない壁が立ちはだかったようで
思っていたよりもダメージを受けている自分に驚く。
魔法が無事に解かれたらすぐお城を出たほうがいい、頭を過ぎったのは
そんなこと…
あたしはゆっくり立ち上がると部屋へと向かっていた


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