満月の夜異世界へと繋がりました
リリアナSide

「メアリーさっき図書館で会った人がそうなのね」


「そうです!あの女が王子様を惑わせている元凶です、間違いありません!
王子様の隣の部屋から出てきたのを
見た者がおります!」


「隣の部屋?待って…もしかしてその部屋は王妃様の部屋なんじゃ「そうです!王子様の亡き母上である王妃様の部屋であり歴代の王妃様が使っていた部屋から出てきたのです!」


侍女であるメアリーが偶然見かけた1人の女性私は話した事もないその女に軽い嫉妬を覚えていた。
どんな女なんだろう、見てみたい
頭を過ぎったのはそんなこと
もう幾度となく王子様主催のお茶会に出席し、王子様とお逢いしているのに一向に進展がない、それは何故なのか?


私はリリアナ・シルフィード
代々宰相を務めたこともある名門と名高いシルフィード家のひとり娘である。代々続く私の家系は魔力が高いこともあり貴族に名を連ねるリルモンドでは知らぬ者がいない程の家柄なのだ


そのリルモンド帝国の王子様は見目麗しく文武両道憧れる女性は数知れず…ただ女癖が少々悪いとは聞いていた、相手をするのは一夜限りの火遊び…外の遊び女ばかりだと

だからメアリーの言葉に耳を疑った
亡き王妃様のお部屋にひとりの女を連れ込んだ!それも名も無き一般人
普通の女を…


許せなかった
許せない…意味もなく怒りが込み上げる、私は子供の頃から王妃になるべく帝王学、行儀作法はもちろんのこと様々なことを血の滲むような努力を重ね学んできた。やりたい事も我慢をして懸命に学んできたのは一重に家の為…シルフィード家の為に他ならない

「私を怒らせた罰を受けるがいい…」


私はそう呟くとゆっくりと瞳を閉じ
て呪文を唱えて始めていた。



< 98 / 175 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop