日本一のヤクザ幹部は、本当は私を溺愛している。
そこまで考えてうん。と頷く。


「あぁ、頼む。」


「ありがとうございます!」ゴン!

...........


正座したまま深々とお辞儀しようとして
思いっきり床に頭をぶつける。


その音に驚いて
他の芸者も幹部すらも
こちらを見て固まる。


たえは耳を通り越して
首筋まで赤くなっている。


「クックック」


上座の方から笑い声が上がる。


それによって
幹部たちもくすくすと笑い始める。


この雰囲気は


「構わん。酌をしろ」


そう言うとたえがばっ!と顔を上げる。


「あ、ありがとうございます!」


俺がこの空気を消せ。と言う流れだ。


全く。と思いながらも
たえが酌をした酒を飲み干していく。


馴染みの芸者は目令をしてくる。


少しだけ居心地が悪くなり
座り直す。


それに気づいた松岸さんが
横でニヤニヤしているのが
手に取るように想像出来る。


全くもってタチが悪い。


クッ、と音を立てて笑い松岸さんを見ると。


松岸さんも更にニヤリと笑った。


ふむ、どうやら幹部全員の
賭けにされていたようだ。
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