日本一のヤクザ幹部は、本当は私を溺愛している。
「彼女はどうだった?」


「彼女とは?」


「フフ、君は毎回同じことを聞くな。
もちろん、俺達の愛おしい妹君だよ。」


「今日も元気でした。
しかし、まだ悪夢を見るが思い出せない
そう言ってました。」


「そう、か、あの子らしいね」


「はい。」


「君はなかなか似ないね。
似てくれたら少しは楽しいだろうに」


「申し訳ありません。」


誰に似てない?なんて聞く必要は無い。


彼の愛おしい妹に、だ。


彼が俺を手元に置いている理由は簡単だ。


ただ単に桃華の最後のお願いの1つだから、


だが、妃瀬はそんだけで傍に置くほど
優しくはない、


探しているんだ。


俺の中に桃華を


高校生の桃華と1番長く過ごした俺の中の
桃華の事を知りたがっているだけだ。


「桃華の怖い夢って、なんだと思う?」


「怖い夢、ですか?」


「あぁ、あんなに美しく強い彼女でも
怖がって記憶を消すほどの夢。

君はなんだと思う?」


「.....黒田に裏切られた時の事、
でしょうか?」


「ふーん」


宏輝の目が細くなって笑う。


あぁ、これ宏輝様が考えていた事と違ったな。


「宏輝様はどうお考えで?」
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