日本一のヤクザ幹部は、本当は私を溺愛している。
食事を終え、
宏輝にの後ろを歩いて店を後にする。


「1週間に1度だけ、
その約束は守ってるみたいだね。」


「はい。
桃華の体に異変があっても大変なので」


「うん、実は俺たちでさえ
未だにほとんど会えてない」


辛いよねーと同意を求めてくる宏輝様に
首を縦に振る。


「医者がまだ様子を見ないと
なんとも言えないそうです」


「んー、俺達が桃華に与えた刺激は
だいぶ大きからね。

下手に思い出しても
今の桃華じゃ苦しむだけだし」


残念。と言いながら宏輝様が車にのられる。


「でも、食べ物が好きなことは、
変わってないようでしたよ。」


そう言うと宏輝様が微かに驚かれる。


「そう、か、はは!そうなのか。
桃華は食べる事が本当に好きだったんだな」


「?はい。」


「いい話を聞けた。
じゃあな、悠月。」


「はい、お気をつけて」


俺が頭を下げると
俺の部下数人も頭を下げる。


また1週間。


彼女に会えるまで生き延びなくてはならない。


何もかもどうでもよかった俺の
唯一の希望であり


唯一の生きる理由なんだから。
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