極秘出産のはずが、過保護な御曹司に愛育されています
 しかも店長まで機嫌が悪く、なにかにつけ加藤さんに厳しく当たった。
 加藤さんはそのうっぷんを私に向け、店内の雰囲気がどんどん悪くなるという悪循環。
 
 これからもこんな環境で仕事をしないといけないのかな。
 
 気が滅入りそうになりながら保育園に向かっていると、登録している人材派遣会社からの電話がかかってきた。

『希望されていた条件にある仕事がみつかりました』と言われ、目を輝かせる。

「本当ですか? ありがとうございます!」

 新しく紹介されたのは企業のオフィスの中にある社員食堂を兼ねたカフェ。
 
 誰でも自由に利用できるけれど基本的には社員向けだから、土日祝日は休みで夕方までの勤務という好条件だ。
 その上、時給もいい。
 
 家からの距離は少し遠くなるけど、それでもかなりありがたいお話だ。

「ぜひお願いします!」

 スマホを耳に当てながら頭を下げると、『ではさっそく明日からお願いします』と言われ驚いた。

 明日って急すぎる。面接もしていないのに。

< 110 / 197 >

この作品をシェア

pagetop