極秘出産のはずが、過保護な御曹司に愛育されています
「副社長と社内カフェのスタッフでほぼ接点はないとはいえ、元恋人と同じ会社で働くのは気まずいですか?」
「私と結貴が付き合っていたことを、ご存じなんですね」
「えぇ。結貴とはイギリスの大学院に通っていた頃からの付き合いですから。彼はキャンパスで女性たちに囲まれても、日本にいる元恋人が忘れられないからと見向きもしなかったんですよ」

『好きな人ができた』という最低ないい訳で彼を傷つけ一方的に別れたのに、結貴はイギリスに行ってからも私を想っていてくれたんだ。

「結貴がそれだけほれ込むなんてどんな女性なんだろうとずっと気になっていたんです。実際にお会いしたら、文香さんは想像以上に素敵な方で驚きました」

 緑がかった瞳をいたずらっぽくきらめかせウインクをする。
 
 さすがアランさんは半分外国の血が流れているだけあって、こういうキザな仕草も様になるなぁ。
 感心していると、後ろから腕が伸びてきた。
 
 私の肩を抱き、強引に自分のほうへ引き寄せる。
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