極秘出産のはずが、過保護な御曹司に愛育されています
「すごくありがたいけど、結貴の好意に甘えられない。副社長の知り合いってだけで、必要もないのに雇ってもらうなんて申し訳ないから」

　私がカフェでの仕事を辞退しようとすると、見ていたアランさんが口を開いた。

「結貴があなたに惚れているから必要もないのに雇ったわけではありませんよ。昨日あなたの働きぶりを見て、ぜひうちのカフェで働いていただきたいと思い、派遣会社を通してオファーさせていただきました」
「本当ですか？」

　私の問いかけに、結貴もうなずく。

「……まぁ、あの店長と引き離すために多少強引に話を進めたけど」
　
　小さなつぶやきに私が首をかしげると、結貴はすぐに「なんでもない」とかぶりを振った。

「それにしても、明日からすぐに新しい職場に来てくれなんて言うから驚いたよ。前の職場に挨拶もできていないし……」
「挨拶に行く必要はないよ。あっちの店はちゃんとフォローするようにしてあるから」
「そうなの？」

　そんなやりとりをしていると、アランさんがくすくす笑いながら口を開いた。

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