極秘出産のはずが、過保護な御曹司に愛育されています
 文香は短大で栄養学を勉強していたこともあって、薬膳やハーブに興味を持っているた。
 はじめて出会ったとき、顔を真っ赤にしながらハト麦茶の効用を説明してくれた姿を思い出す。
 
 リニューアルしたカフェのコンセプトは文香の知識を生かせると思い紹介してみたけれど、ぴったりだったようだ。
 Green Cafeで働く文香は、とてもいきいきとしていた。
 
 以前働いていたファミレスでの同僚からのひどい中傷や、馴れ馴れしい店長の態度はとてもじゃないけれど見ていられなかった。
 あの店で働いていたら文香は心をすり減らし、それでもひとりで頑張り続けたんだろうと思う。

「で、来週の土曜のご予定はもうお決まりですか?」

 ふいにそう問われ、質問の意図がわらず首を傾げる。
 アランはあきれたようにため息をついた。

「来週は、文香さんの誕生日だろ」

 そうだ。
 彼女の誕生日は十一月の末だった。
 はっとしてカレンダーを確認する。

「どうしてアランがそんなことを知っているんだ」
< 123 / 197 >

この作品をシェア

pagetop