極秘出産のはずが、過保護な御曹司に愛育されています
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「おじいちゃん、お見舞いに来たよ」
祖父の病室のドアを開けると、いつものように穏やかな笑顔で迎えられた。
「悪いね文香。土曜に呼び出して」
「ううん。大丈夫だけど、わざわざ未来を預けてふたりで話したいことってなに?」
「葉山さんからこれを渡してくれって頼まれているんだ」
祖父は一枚の紙を差し出した。
中には美容室の名前と住所が書かれていた。
「予約してあるそうだから、行っておいで」
「え?」
なにか大切な話でもあるのかと思っていたのに。
まさか、私を美容室に行かせるのが目的だったの?
「ここしばらく仕事と子育てと私の見舞いが忙しくて息抜きもできてないだろう。たまにはゆっくりするといい」
「そんな、甘えられないよ」
「結貴さんの好意を無駄にするのかい? せっかく文香が羽を伸ばせるように未来を預かってくれたというのに」
「でも、未来を預けて自分だけのんびり美容室に行くなんて」