極秘出産のはずが、過保護な御曹司に愛育されています


            


   
            

 月曜日。
 いつものようにGreen Cafeに出勤する。
 
 開店準備をして店の前にオープンの札と日替わりメニューが書かれた黒板を出した。
 
 そして、ビルを見上げる。
 
 今頃結貴は執務室で仕事をしているんだろうな。
 
 週末に交わした短いキスがよみがえり、頬が熱を持っていく。
 
 いつの間にか私たち家族の中で結貴はかけがえのない存在になっていた。
 そして私の心の中でも、閉じ込めていた恋心がもう抑えきれないくらい大きくなっている。
 
 このまま彼と会い続けてもいいのかな。
 私と結貴が一緒になるなんて許されないのに。
 
 そんなことを考えていると、「もうお店やってますか?」と声をかけられた。

「どうぞ、いらっしゃいませ」と言いかけて目を丸くする。
 
 開店したばかりの店内に入ってきたのは、ファミレスで一緒に働いていた大学生の篠田さんだ。
 
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