極秘出産のはずが、過保護な御曹司に愛育されています
「また、白石さんだけ特別扱いされてるとか言われてたんだろ?」

 そう言われ、返事に困った。
 
 わかっているなら、注意するときに『白石さんを見習って』なんて言い方をしないでくれたらいいのに。

「どうせ白石さんを妬んでいるだけなんだから、気にしなくていいよ」

 明るく笑い飛ばす店長に、私は困り顔でうなずく。

「もしつらいことがあったら、なんでも相談してね。俺はいつだって白石さんの力になるから。俺だけが、味方だからね」

 店長は言いながら私の肩に触れた。
 その瞬間、背筋にぞくっと悪寒が走り、反射的にその手から逃げてしまった。

「す、すみません……」

 あからさまに避けてしまったことを謝ると、店長はにこにことした笑みを浮かべる。

「いや、大丈夫だよ。こっちこそいきなり触ったりしてごめん」

 私の失礼な態度にも、特に気を悪くした様子はなかった。
 ほっとしながら息を吐きだす私を、店長はじっと見つめていた。

 


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