極秘出産のはずが、過保護な御曹司に愛育されています
 ようやく向き合って素直になれたふたりは、お互いに瞳に涙をたたえていた。

「ふたりとも、言葉が足りなかったんだな」

 両親の和解を、結貴は少しあきれたようなでも優しい表情で見守っていた。

 そのとき、診察室のドアが開いて看護師さんが出てきた。

「未来ちゃんの処置が終わりました。もう帰って大丈夫ですよ」

 その声と同時に、未来が元気に飛び出してくる。

「ママー!」

 未来が私にぎゅっと抱き着いた。
 そして、そこにたくさんの大人たちがいるのに気づいて目をまたたかせる。

「このひとたち、だぁれ?」
「ええと」

 私が答える前に、結貴のお父様とお母様が目を見開いた。

「もしかして、この子は……?」

 その質問に、結貴が私の耳元で「言ってもいい?」とたずねる。
 予想外の急展開だけど、ちょうどいい機会かもしれないと思いうなずいた。

「俺の子だよ」

 未来を抱いた私の肩を、結貴が抱き寄せる。
 それを聞いた未来は、私の腕の中で大きな瞳を輝かせた。

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