極秘出産のはずが、過保護な御曹司に愛育されています
「え! ゆうきさんが、みらいのパパなの!?」
「驚かせてごめんね。俺が、未来ちゃんの父親なんだ。急に言われてびっくりした?」
「ううん! とってもうれしい! ゆめみたい!」

 未来は無邪気に言って、私の首にぎゅっとしがみつく。

「ママうれしいね! ママはずっとパパのことがだいすきだったもんね! よかったね!」

 自分のことよりも前に、私のことを考えてくれる未来の優しさに目の奥が熱くなる。
 私はなんとか涙をこらえながら、笑みを浮かべて「うん」とうなずいた。

「文香さんが妊娠していたなんて……。私があんな身勝手なことを言ってしまったから、ひとりでこの子を育てることになったのね。ごめんなさい。とても大変でつらかったでしょう……?」

 私たちの様子を見ていたお母様は手で口を覆い、声を震わせて頭を下げる。

「いえ、妊娠を正直に話して相談する選択肢もあったのに、未来をひとりで産んで育てると決意したのは、私ですから」
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